丸山遊女、オランダ商人を訪問中
この部屋には、丸山遊女が出島生活で嗅いだであろう、オランダの 匂いが展示されています。これらは現代の私達にはあたりまえですが、当時は限られた日本人しか嗅げない特別な匂いでした。
Smell 1: コーヒー
「出島オランダ商館長は毎朝好んでこれをお飲みになりま す。いささか焦げたような匂いがいたしますが、館長によると豆で作られたものとか。もしかしたら黒豆茶か麦茶に似たようなものかと思われましたので、ひと くちいただきましたところ、ひどく苦くはありましたが、なんとか喉を通すことができました。先日いらっしゃった通詞の方などは、あまりの苦さに粗相してし まわれたとか。」
〜丸山遊女、コーヒーの匂いについて語る〜
Smell 2: 煙草
「出島オランダ商館長は、事に及ばれた後やお食事の後など は必ず、何やら木の葉のようなものを燃やした管からこのような匂いのする煙を吸うのをお好みになります。この煙はまた、部屋中に行き渡ります。たいてい焚 き火のような匂いがいたしますが、時々甘い良い匂いがすることもあり、また苦々しく尖った匂いのする時もあります。」
〜丸山遊女、タバコの匂いについて語る〜
Smell 3: 食肉
「特別な晩餐会の時などは必ず、食卓にこの匂いが漂いま す。このお料理がいったい何なのか、出島オランダ商館長にお聞きしましたところ、驚いたことに、出島の隅にある家畜小屋にいたものだとおっしゃるではない ですか。館長はご親切にわたくしにも勧められましたが、申し訳ないことにお断りしてしまいました。四ッ足の動物を食することは、仏様のお怒りに触れること になるかと思われましたので。」
〜丸山遊女、食肉の匂いについて語る〜