あのプラスチックおいしそう

– マイクロプラスチックの匂い –

インスタレーション (2023)

 

DATE: 2023年9月23日(プルミエ)
CONTEXT: 東京ビエンナーレ 2023 超分別ゴミ箱プロジェクト
CURATOR/PRODUCER: 藤幡正樹ほか

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コンセプト:

海の生物がマイクロプラスチックを餌と間違えてしまうのは、その見かけからではなく、匂いからだということが、最近の科学で明らかになっています。プラスチックは匂いを吸着しやすい素材です。プランクトンの生成する匂い、Dimethyl Sulfide (DMS)も吸着します。海の生物は視覚が弱く、嗅覚は鋭いので、プラスチックが「擬似エサ」であることを疑うことはできないのです。

この作品では、青い玉は海を表し、白い玉はプラスチックを表しています。マイクロプラスチックの匂い(DMS)を人間が嗅ぎやすいように設計することにより、匂いによる環境問題への問いかけをするものです。

展示の技術:

DMSの沸点は38度であり、平均21度の海水では適度に保持されますが、展示の室温と湿度下ではすぐに揮発してしまいます。そのため、1日20滴ほど安定して滴下し、持続的に香るよう、溶剤を調整する技術を応用しています。


DMS

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にほひ

– 色と香りの共感覚 –

 

空間インスタレーション (2023)

マスター調香師・クリストフ・ロダミエルと嗅覚アーティスト上田麻希のコラボレーション

期間: 2023年10月15日(プルミエ)〜11月15日

会場: スペルノヴァ川崎 オープニング企画展

協賛/制作: BÉLAIR LAB

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BÉLAIR LABのチーフ調香師、クリストフ・ローダミエルが開発したスペルノヴァ川崎のシグネチャーフレグランス「FADE-IN」を、嗅覚アーティストの上田麻希がビジュアル化したコラボレーション作品です。

フレグランスはたいてい、様々な「相(ファセット)」から構成されています。 それをクロマトグラィー(複雑な混合物を分離して、個々の要素を見る技術)にかけてみると、より興味深くなり、完全に理解することができます。私たちは、体験者の理解をうながし、さらに情動の領域を広げるために、嗅覚的・視覚的にFADE-INの相と遊んでみました。

床一面に敷きつめられた香りの彫刻のような折り紙の花は、液体プールから和紙を通して香りを拡散させます。 クロマトグラィーのように、香りの成分をフレッシュな面(フェーズ)とダークな面に分離し、それぞれが色で表されます:

[CYAN] ライト/クリーン/ラウドな面:新鮮な空気、緑の葉のアコード、アブストラクト、ミュゲ…
[MAGENDA】ダーク/レジーナス/センシュアルな面:アンバー・ラブダナム、パチョリ、フランキンセンス、イモーテル、ミモザ樹脂、ストロベリー

約一週間かけて行われるクロマトグラフィーの結果、花はそれぞれの香りの面に対応する色に染まります。色が匂いを視覚化するのです。 常に変化するインスタレーションで、明るい面(シアン)は暗い面(マゼンダ)よりも速く動き、速く乾燥することを示している。 

ある片隅では、ある花がある面を奏で、別の隅では、もう一方の面を演じる花もある。社会もまた、集団、文化、行動を定期的にクロマトグラフィーし、声明や肌色によって分けて分離されてます。この作品では、クロマトグラフィーにおいて、あるいは社会において、そして香りにおいて、しばしば置いてきぼりにされる暗い部分が前面に押し出されます。クロマトグラフィーで最初に出てくる、そして社会において香りにおいて騒々しく目立つ部分、音楽でいえば軽やかな高音の部分が、目立たない側に置かれ、それを花が和らいでくれます。

もともと「におい」は、共感覚的なことばでした。古語の「にほひ(丹秀ひ)」は、赤やピンク、朱色の、ふわっとした視覚的な神々しさを指します。「丹」は赤い水銀の原鉱石で朱砂とも呼ばれ、神社の鳥居の塗装に使われました。この作品は、現代に生きるわたしたちに、いにしえの共感覚を問いかけます。

会場名「SUPERNOVA」は、超新星を意味します。超新星の美しい色どりもまた、大気のクロマトグラフィーを視覚化したものです。これらの小さな花ひとつひとつが、新しい星(スター)の誕生、SUPERNOVAを表しています。

PRESS RELEASE (1)

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エアロ・スカルプチャー 空気の彫刻

– 香りの雲海 –

 

空間インスタレーション (2022)

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期間: 2023年11月3日(初演)〜12日
プロデューサー:京都嵐山芸術祭
会場: 嵐山辨慶(京都)
サウンド:Shambala 2 / Friedrich Glorian

パンデミックにより、わたしたちは飛沫や排気など、目に見えない空気というものを知覚する努力を払うようになった。この作品では香りを使って、目に見えない香りの空間を視覚化。京都嵐山のために制作した新作。

もし我々が、香りを見ることができたとしたらどうだろう。その疑問からスタートした一連のリサーチと実験の総称が Aerosculpture である。今回はドライアイスと煙の手助けを借りた。

日本には伝統的に、お香文化がある。お香には、単に享楽的に空間を香りで彩るというだけでなく、おもてなしという礼の意味もあるし、宗教的には邪鬼を払うという役割もある。寺院に参拝する際も、まず頭から煙をかぶり、身を清める。

子どもの頃、単に煙をかぶることが楽しかった。ほんのり甘くいい香りがして、見えるのにすぐ消えて、つかめそうでもつかめないそれを、必死につかもうとした。そうやって子どものように香りと遊ぶ場を、この作品で提供しようと考えた。

展示会場が古都京都の参拝の地、嵐山であることから、「寺院のお香の香り」をドライアイスで出す実験をした。

音楽家 Friederich Glorian のチベット・ゴングによる実験音楽が時空間に奥行きを与えてくれた。このように、時間軸と空間軸のコンポジションにより、香りはパフォーミングアーツにもなりることも証明できたと思う。

 

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