五感のための晩餐会
- レストラン形式でのフードアート・ワークショップ -
ワークショップ/イベント (2009)
是故空中 無色無受想行識
無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法
- 般若心経 -
2009 年 9 月 27 日、 オランダ・ロッテルダムのあるシアターの食堂を借りて「五感のための晩餐会 」が開催されました。
私たちはふだん、何気なくご飯を頂いていますが、匂いを嗅いでは食欲をそそられ、料理の盛りつけ を見ては感嘆し、コリコリした食感に唸るなど、全五感をフル回転させて「味わう」ことを体験して います。食べるということは、味覚だけでなく、五感(あるいはもっと多くの感覚)で楽しむ行為な のです。
「五感のための晩餐会」は、ワークショップであり、フード・アートでもありつつ、その場がレスト ランでもあります。ひとつひとつの料理に添えられるのは、目隠しや耳栓など、感覚を消したり強調 したりするための小物。これで五感のどれかを鈍くしたり鋭くしたりして、「味わう」という行為を 再認識してもらいます。このディナーを通して、未知の感性や感覚を発見できるかもしれません。
日本関係のフェスエィバルの一環として開催されたので、メニューは和食で構成されました。
photos: Moritz Bernoully
お食事:
- 青海苔せんべい
- もろきゅう
- 揚げそうめん
- わかめサラダ
- そばかりんとう
- 枝豆
- 麹漬け(上田家秘伝)
- ミックスナッツ
前菜
味と匂いの実験のための品々
1. まずは味噌汁を蒸留して作られた「MISO SOUP PERFUME」を、拭香紙を使って匂いを嗅いでください (あるいは口に吹きかけてください)。
- トップ・ノート(ネギ)
- ミドル・ノート (椎茸/昆布だし)
- ラスト・ノート (味噌)
MISO SOUP PERFUME は、味噌汁を蒸留して作られた香水。
透明ですが、フレーバーは味噌汁そのもの。
2. ほんものの味噌汁を味わってください。
主菜
目隠着用
全く同じディッシュが2回サーブされます。
1回目:
- 目隠着用
- 手づかみで
2回目:
- 目隠は外す
- 箸を使って
色無し、形無し、けれども花づくし。 触覚的、感覚的。 (糸こんにゃく、カボチャの煮物、桜のおにぎり、等)
デザート
ビックリ・アイス
目隠・耳栓着用
スペシャル・ドリンク
グリーン・ティー + オレンジ・ジュース・スプレー
オレンジ・ジュース・スプレーを口に吹きかけ、それから緑茶を口に含ませます。
"ふたつの食品の主要成分に共通するものがあった時に、それらはうまく組み合わさる。"
: モレキュラー・ガストロノミーの共通認識としてのコンセプトに基づいた組み合わせです。
(www.foodpairing.be)
インスピレーション
このワークショップの最初のインスピレーションとなったのは、ブリュッセル・ ベースのアーティスト・コレクティブである FoAMの活動でした。マヤ・クズマ ノビッチが企画した刺激的なイベントのひとつに、2008年11月の Open Sauces という晩餐会がありました。食の未来に関して多角的に検討するための企画で、 そのトピックは分子ガストロノミー、食と感覚器官(上田もこのトピックに寄 せて作品を提供)、食の流通や食糧危機問題、食の安全など、多岐に渡るものでした。
メーキング
ブログ魔女の実験室 [五感のための晩餐会]を参照してください。
クレジット
special thanks to : カメラ・ジャパン・フェスティバル
コンセプト & 制作 : 上田麻希
料理 : 上田のり子、上田麻希
サービス : 遠藤みさ枝+マリア、稲村朋子