展示期間: 2009年5月16日〜8月30日
展示場所:ライデン市立美術館
展覧会名:Holland Mania Manifestation
「丸山遊女とオランダ商人」は、日蘭通商400周年記念祭に寄せて、ライデン市立美術館のコミッションにより制作された。
概要
オランダはその昔、鎖国中の日本が貿易を許した唯一の外国でした。両国の通商400周年記念祭として、『Holland Mania 展 〜アメリカと日本のオランダ認識〜』がライデン市立美術館で開催されました。鎖国中の日本人が抱いたオランダへのエギゾチズム、そして逆にオランダ人が抱いた日本へのエギゾチズム、その双方を題材にした展覧会です。
上田の作品「丸山遊女とオランダ商人」は、ふたつの視点を内包しています。
- 日本人が嗅いだであろう出島のオランダ生活の匂い
- オランダ人が嗅いだであろう長崎丸山遊女の匂い
匂いは、上田が作品制作の素材としているものです。この作品は、オランダが長崎出島に商館を構えた17世紀の世界へと、感覚的なタイムトリップに連れて行ってくれます。日本の香りの歴史は、オランダ無しには語れないものです。オランダ東インド会社(VOC)は、クローブやナツメグや他のスパイスや、精油などを、古代より日本に紹介していました。蒸留という技術を日本に紹介したのもまた、17世紀のオランダでした。
日本の歴史の匂い
上田はそのアーティストとしてのキャリアにおいて、日常生活の匂いを抽出するあらゆる方法を応用しています。この作品は、日本とオランダが共有する歴史の匂いが使われており、歴史を土台として、想像に語らせるものです。
「オランダ人は妻子を連れてこないで下さい。そのかわり、遊女を お世話しますから。」それが幕府の方針だった。つまり長崎の丸山遊女は、オランダ商館長にとっては現地妻のような役割を果たし、いわば最もオランダ人に近い日本人でした。この関係における文化の邂逅に焦点を当て、掘り下げていった結果、ふたつの環境インスタレーションができあがりました。
PLEASE TOUCH
自由に探索し、匂いを嗅ぎ回ってください。丸山遊女になったり、オランダ商人になったつもりで体験してください。畳の上に寝転がったり、白粉などで化粧をして遊女の匂いを体に纏い、当時のオランダ人にとってのそれらの匂いがどれだけエギゾチックなものだったかを想像してみてください。
ライブ・ゲイシャ・パフォーマンス
会期中の週末には、遊女の最高格・花魁がそれらの匂いを纏い、実際に「遊女の部屋」で暮らします。(花魁に扮するのは在蘭邦人の有志コスプレ・ボランティア。)